ギランバレー症候群
ギラン・バレー症候群 (ギラン・バレーしょうこうぐん、Guillain-Barre syndrome)と言う難病は、多発性の根神経炎の一種です。
体を動かす仕組みは脳から動作の信号が発生して脊椎を伝わり筋肉を動かすための神経を介して動作が実行されるのですが、ギランバレー症候群は、筋肉を動かす運動神経に障害をきたし、手足に力が入らなくなる病気です。
重症になると、自分で体を動かす事ができなくなるだけではなく、無意識に活動しているはずの呼吸器や循環器、消化器などの中枢神経にまで障害が及ぶようになります。
中枢神経障害性の呼吸不全をおこした場合は、一時的に気管切開や人工呼吸器を必要となります。
日本では特定疾患(注1に認定された指定難病です。
病名の由来は1916年にこの疾患を報告したフランスの内科医ギラン(Guillain)とバレー(Barre)です。
ギラン・バレー症候群はごく稀な疾患であり、年間の発病率は10万人当たり1~2人程度の罹患報告があります。
ギランバレー症候群の一般的原因は、カンピロバクター、サイトメガロウイルス、EBウイルス、マイコプラズマなどのウイルスや細菌の感染によって身体の抗体反応が働きます。
ここまでは正常な体の働きなのですが、あるとき、攻撃すべき細菌に引き続いて抗体が誤って自己の末梢神経も攻撃してしまうのです。
つまり、過剰な自己免疫応答によって発症すると考えられています。
ギラン・バレー症候群は髄鞘が侵される脱髄型と、軸索そのものが侵される軸索傷害型、両者が侵される混合型に分類されます。
これまでの症例は脱髄型が多く生命予後、機能予後ともに良好とされていましたが、大掛かりな調査の結果、軸索傷害型と混合型の割合が高く、長期的にも機能が完全には回復しない例が多いことが明らかとなってきたのです。
程度には個人差があり、運動神経の障害が主で始めの症状は足の筋力低下から起こることが多くその後、足から胴体に向かい左右対称に筋力低下や麻痺が進行します。
呼吸筋の麻痺が起こると人工呼吸噐により呼吸管理が必要となることがあり、運動神経の障害や軽度の感覚神経障害も残ります。
また、顔面神経麻痺や外眼筋障害などの脳神経症状や、耳の障害や咀嚼障害などの球麻痺症状、自律神経障害を伴うことがあるようです。
(注1:特定疾患治療研究事業の対象疾患については、医療費の患者自己負担分について公的な助成(公費負担医療)を受けることができる。
都道府県自治事務。
また、難治性疾患克服研究事業の対象疾患(特定疾患)に対しては、ホームヘルプサービス、ショートステイ、日常生活用具の給付を受けることのできる難病患者等居宅生活支援事業も行われている。
市町村自治管轄事務。