骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群とは骨髄機能の異常によって造血に障害を起こす症候群で、急性骨髄性白血病の前段階とも言える病態です。
骨髄にある全ての血液のもととなる細胞である造血幹細胞が異常(ガン化)を起こし、骨髄が正常に血液生成ができなくなり、極めてゆっくりと身体の血液成分全体に異常が起きます。
骨髄異形成症候群は、1982年にその病名が与えられたばかりなので聞き慣れない病名ですが、元東京都知事であった青島幸夫氏がこの病気で亡くなられたことで知った方も多いことでしょう。
このような骨髄の病気など他人事と思われるかも知れませんが、近年の高齢化に伴って骨髄異形成症候群になるお年寄りの数が増えているのです。
というのも、この骨髄異形成症候群は50才以上の年齢の人、および高齢者に多く発症するのです。
ただ、決して高齢者だけの病気ではなく、発症年齢は小さな子供から中年までと、誰にでも起こりうるのです。
発症すると動悸や息切れ、立ちくらみ、めまい、倦怠感など、貧血に似たような症状が出てきますが、進行が極めて遅いので、はっきりとした自覚症状が出てきません。
その結果、病院に行くのが遅かったり、小さな病院で単なる貧血と片付けられたりして病気を確定するのが遅れてしまいます。
ただ、骨髄異形成症候群には今のところ決定的な治療法が無く、一度発症すると高齢者ほど助かる確率は無い恐ろしい病気です。
薬物治療や放射線治療を受けた場合などには、二次性の骨髄異形成症候群が起こることもあるので、唯一ともいえる治癒の可能性が最も高い治療法のひとつが骨髄移植となります。
これも年齢が若くて、その人に合う骨髄提供者が見つかればという厳しい前提条件下の話であって、治癒率も決して100%ではありません。
更に骨髄異形成症候群発症者の多い高齢者では、肉体的負担が大きすぎるため骨髄移植はできず、残念ながら成す術のないのが現状です。