歯槽 膿漏
歯茎(はぐき)の病気に、歯槽膿漏と歯周病があります。
どちらも、似たようなイメージがあり、一般的には混同しているようです。
歯槽膿漏と歯周病とは、どのような病気、または、どのような状態をいうのでしょうか。
歯周病とは細菌(菌)によって炎症が起こり、歯周組織が壊される病気です。
はじめは、歯茎(はぐき)が腫れてきます。
歯がぐらぐらし、咬むと痛くなり、弱まった歯周は歯を支えることができなくなります。
最後には、歯が抜け落ちてしまうのです。
歯周組織とは、歯の周囲の組織のことをいい、4つの種類があります。
歯肉(歯ぐきのこと)・セメント質(歯の根の表面を覆っている組織)・歯根膜(歯と歯槽骨を結ぶ線維)・歯槽骨(顎の骨)。
とくに、歯槽骨は大事です。
歯は歯槽骨の中に植わって支えられているからです。
歯槽膿漏とは歯周ポケット(歯肉と歯の間のこと)から膿が出ている状態いいます。
歯周病と同じ意味として使用されることもありますが、本当は、歯周病の症状の1つを指して言っているのですね。
「歯槽膿漏」の状態を含めて、歯周病の進行はいくつかの段階に分けられます。
健康な歯肉は、薄いピンク色をしています。
歯肉は、歯と歯の間にしっかりと入り込んでいて、弾力があって引き締まっています。
ブラッシングで出血することはありません。
歯周病の初期の段階を「歯肉炎」といいます。
歯肉炎とは、歯肉に炎症が起きた状態で、まだ骨には影響がありません。
歯肉は、赤みを帯びた色をしており、歯と歯の間の歯肉が丸みを帯び膨らんでいます。
ブラッシングすると出血します。
歯と歯肉の境に付着している歯肉中の細菌(菌)が毒素を出し、歯肉に炎症をもたらします。
歯肉が腫れると、ポケットの段差が大きくなるので、歯垢が溜まりやすくなって悪化していきます。
骨や歯と骨が接合している繊維(歯根膜)まで炎症が進んだ段階を「歯周炎」といいます。
歯肉の色は赤紫色。
歯肉はぶよぶよと腫れており、退縮しています。
ブラッシングでは出血に加えて膿も出る。
歯と歯の間が広がっていくので食べ物もよく詰まりす。
歯肉が退縮しているので、歯が長く見えるのも特徴です。
繰り返しますが、病気が歯周炎の段階まで進むと、ブラッシングで膿が出てきます。
これが歯槽膿漏なんです。
歯周病は、特殊な細菌によって引き起こされるといわれてきましたが、実は細菌ではなくて、カンジタが原因であることが分かってきました。
カンジタの正式名は「カンジダアルビカンス」で、細菌ではなくて、「菌・カビ」です。
細菌と菌では、言葉は似ていても種類が違うので、治療法も違ってきます。
「カンジタ」にあわせた治療法が試行されています。
さて、歯周病の原因が菌であれ、細菌であれ、その温床は歯垢(プラーク)です。
歯垢をつけないように日ごろから適切なブラッシングをすることが、歯周病にかからない第一歩といえます。
また、歯垢が固まったものを歯石といいます。
歯石になると、ブラッシングでは取れないので、定期的に歯医者へ行って取り除く必要があるでしょう。
そのほかの歯周病の原因としては、「歯にかかる過大の力」「ストレス」「タバコ」「糖尿病」があります。
いずれにしても、歯周病にかからないようにするには、日ごろから自分自身に関する注意とケアがなによりも大事といえますね。