ジスロマック 歯周病
歯周病の治療法として、最近クローズアップされているのが、ジスロマックという薬です。
これまでの歯周病治療薬に比べて効果が高いといいます。
ジスロマックは、飲んで効く薬なんですが、このジスロマック、歯周病の薬ではないのです。
歯周病でなければ、いったい何の薬でしょうか。
ジスロマックは「カンジダ菌」を治療する薬です。
カンジタは、性病です。
性病と歯周病の共通点はどこにあるのでしょうか。
ちょっと説明しますね。
一般的に、歯槽膿漏に効くとして売られている薬というのは、一時的に炎症を抑える効果しか持ちません。
根本的な歯槽膿漏の治療薬ではないのです。
理由は「歯槽膿漏」という病気の原因解釈の違い。
従来、歯槽膿漏というのは、細菌によって引き起こされる病気だとされていました。
細菌の元になっているのは、プラーク。
歯の間にくっついている白いやつです。
歯槽膿漏の根源の細菌が詰まっているプラークを取り除くというのが、解決の手段とされていたんです。
時間をかけた歯磨きなどで、プラークを除去するのですね。
歯磨き粉のCMなんかでよく見られます。
ところが、歯槽膿漏の原因には、細菌ではなく、カビのカンジダ菌が関係していることが、最近になってわかってきました。
歯槽膿漏の患者を調べると、歯茎や歯の表面組織にカンジダ菌や胞子が侵入してりるのが確認されたのです。
プラークの大部分も、細菌でなくてカンジダでした。
カンジダは「カンジダアルビカンス」のことで菌(真菌)の一種です。
細菌と菌は文字は似ていますし、どちらも微生物とされていますが、細胞の構造はまったく違っています。
つまり、細菌用の治療では、菌にはあまり効かないのです。
この事実を元に、歯周病嫌気性菌に抗菌力を発揮する「抗生物質」と「抗カビ剤」を歯槽膿漏の薬とする治療法が出てきて、そのひとつが、飲み薬の「ジスロマック」なんです。
それでは、具体的な治療はどうすればいいのでしょうか。
飲み薬として使うのは「ジスロマック」ですが、同時に「ファンギゾンシロップ」というシロップを併用して、治療効果を高めるようです。
ジスロマック(アジスロマイシンともいう)は抗生物質。
1日1回2錠を服用し、3日間続ければ、歯周病嫌気性菌に対して強い抗菌力を発揮します。
効果の仕組みは、ファゴザイトデリバリーという特殊な性質にあります。
感染局所に非常に大量に集結し、より強く、長期的(7日~14日)に菌に対抗するのです。
副作用が非常に少ない点も、特徴の一つといえます。
次に、ファンギゾンシロップ(アムホテリシンBシロップともいう)ですが、これも元々は体内の消化管にカンジダ菌(真菌)が増殖したときに使う薬です。
通常の歯磨きの後に、ファンギゾンシロップを直接口にいれ、その状態で歯ブラシなどで口の中にシロップを行き渡らせます。
そのまま、30分間うがいをしないで、ファンギゾンシロップを飲み込みます。
ちょっとつらい時間ですが、我慢します。
ファンギゾンシロップは、飲み込まなくてもいいのですが、飲み込んだほうが、やや効果的です。
消化管からはほとんど吸収されないので、全身的な真菌感染症には効果がありませんが、歯槽膿漏の薬として使用するのには、かえってが都合が良いいようですね。
こうしたことを続けると、もちろん個人差はありますけど、だいたい1週間で歯茎に違いがあらわれてきます。
事前に、歯科医院で歯垢・歯石を取っておけば、より効果が高まります。
ただし、こうした治療方は、まだ一般的ではありません。
実践している歯医者も、数少ないようです。
その点を踏まえた上で、歯周病・歯槽膿漏対策を行ってください。