混合診療
混合診療とは、2004年の小泉内閣の時代に規制改革・民間開放推進会議(オリックスの宮内義彦会長が議長)が混合診療解禁を提案したが厚生労働省と日本医師会が反対した経緯があります。
その意味は健康保険、国民健康保険などの公的医療保険が適用される保険診療と適用されない自由診療を併用することを言います。
2007年現在の医療制度では、保険診療については、患者は医療費のうち一部を負担すれば良いのはご存じのとおりです。
日本では健康保険制度の整備により1961年(昭和36年に達成された国民皆保険制度のおかげで、保険証1枚あれば「いつでも、どこでも、誰でも」自由に、安心して、平等に医療を受けることができます。
現在の制度では健康保険で認められた自己負担3割などの公的医療保険のみの診療が大部分です。
その一方、保険の適用されない自由診療については、医療費の全額を負担しなければなりませんが、保険診療と自由診療を併用した場合は、保険診療も含む全ての診療が自由診療の扱いを受け、原則として患者が全額負担しなければなりません。
混合診療が解禁されれば、保険診療を受けながら、国内で未認可の治療法や医薬品を活用できるなど利点があるとされています。
政府は前述の2004年に混合診療の解禁に向けて基本的合意に達しましたが、すべての人が負担能力に関係なく平等な医療を受けることができる国民皆保険制度の崩壊につながるなどの理由から解禁に反対意見が出て見送りになりました。
保険が適用にならない部分だけ個人負担できる制度である混合診療を解禁する、しかしそうなると一般の人は多額の負担で困る人も現れるので民間の医療保険を使いましょう、と言うのが政府の規制改革・民間開放推進会議の考え方です。
当時の規制改革会議議長の宮内オリックス会長は「医療に市場経済を持ち込めば、新たな健康サービス産業が生まれる」と主張しました。
混合診療を解禁すると、かえって保険外の部分が増え、どうせ使えないなら必要ないと考える人が増え、その結果健康保険の加入者は減り、今の国民皆保険制度が崩れると言う意見も医師の間にはあります。
医療に市場経済が導入されるとどうなるかと言うと、民間医療保険では既に病気にかかっていて通院歴のある人などは加入を拒否されたり、高い保険料が必要となります。
その結果、お金の無い人とある人では受けられる医療に差が生じることになります。
社会主義の一部や北欧の国のように医療費がかからない、そこまでは期待するのは無理があるとしても所得の格差で普段病院に行きづらくなるのは賛成できません。