咳喘息と喘息との違い
咳喘息という病名を最近よく耳にしますが、従来の喘息とはどう違うのでしょうか。
そもそも喘息とは、呼吸するときにゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴といいます)がする、息苦しい(呼吸困難)、タンを伴う咳が続くなどの症状が見られる病気です。
喘息発作時の気管支には、気管支平滑筋が収縮し気管支が狭くなる、気管支内部がむくんで狭くなる(粘膜浮腫)、タンの分泌が増える、などの変化が起こっていると考えられています。
これらの気管支の変化は長い間発作時にだけ生じると考えられていました。
しかしながら、近年の研究によりこれらの変化は正常な人でも起こっているが、喘息患者ではこれらの変化が起こりやすいことがわかってきています。
喘息患者におけるこれらの気管支の変化を起こりやすくしている原因が慢性的な気管支の炎症です。
これに対し、咳喘息では呼吸時の喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー音)や呼吸困難を伴わず、咳が慢性的に数週間から1年以上続くことが特徴です。
咳喘息は風邪を引いた後にかかりやすく、風邪が治った後も咳だけが数週間続くようであれば注意が必要です。
咳喘息は若い女性やアレルギー体質の人がかかりやすいようです。
また、咳喘息の咳は、タンを伴わない咳が出る、夜間から明け方にかけて咳が出やすい、タバコの煙や冷たい空気を吸うと咳が出やすいなどの特徴があります。
咳喘息は喘息の前段階と考えられており、約15%~30%の咳喘息患者は喘息に移行すると考えられています。
咳喘息の診断は非常に難しく、比較的新しい病気のため知らない医者も少なくありません。
胸部レントゲンなどには異常が認められず、タンのない咳が数週間続き、気管支拡張薬が効けば咳喘息の可能性がかなり高いと考えられます。
喘鳴があったり、呼吸困難があれば咳喘息ではなく喘息と考えてよいでしょう。
他に異常がないのに3週間以上タンのない咳だけが続くようであれば、アレルギー科、呼吸器科や耳鼻科で受診することをお勧めします。