クラッシュ症候群
クラッシュ症候群とは挫滅症候群(ざめつしょうこうぐん)とも言われています。
車両事故などで、身体の一部が長時間挟まれるなどして圧迫されたりしてきゅしゅつされた後に、起こる様々な症候ことを言います。
クラッシュ症候群(またはクラッシュ・シンドローム)とも呼ばれていますが、きゅしゅつされた直後に意識がはっきりしている場合など重傷であることが見落とされる場合もあり、致死率は比較的高いとされています。
このクラッシュ症候群が始めて報告されたのは第二次世界大戦中の1940年に、ドイツ軍の空爆を受けたロンドンにおいて瓦礫の下から救出された人たちが発症し、これが最初の症例の報告とされています。
日本においては記憶に新しい人もいると想いますが1995年の阪神・淡路大震災で約400人が発症し、そのうちの約50人が死亡したと言われるものが最初です。
2005年に起きたJR福知山線脱線事故でも多数の人たちが発症しました、現在でも治療をしている人もいるなかでクラッシュ症候群で1人が死亡しているとされれています。
このクラッシュ症候群の原因は身体の一部、特に四肢が長時間圧迫を受けときに、筋肉が損傷を受けます。
その後に、圧迫された状態から解放されると、損傷を受け壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。
これらのものが大量に血液中に放出されることによりクラッシュ症候群の症状が発症するのです。
発症すると意識の混濁、チアノーゼ、失禁などの症状が見られる他に、高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビンにより腎臓の尿細管が壊死し急性腎不全を起こしたりします。
最初の症状は意識もはっきりしているために災害や事故に遭遇した人が大勢の場合などのときに治療が後回しになる確率が多いのですが、これらの時がクラッシュ症候群にとって一番危険なのです。
その治療方法は血液透析、血漿交換などの血液浄化療法。
また、一時間以上挟まれている状態のときに水分補給や乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液の点滴による血液中の毒素の希釈も有効です。
肝心なことは放出されたカリウムなどの血液中の濃度を下げることです。
なにも無い場合にはとにかく水分を補給する、それがクラッシュ症候群を引き起こさない唯一の方法です。