スギ花粉症緩和米
スギ花粉症緩和米なるものが、登場しています。
名称の文字からも容易に推測できるように、スギ花粉症を緩和させる効果のあるお米のことです。
日本人の15%が花粉症だと言われ、その数は年々増加の一途をたどっていると言われています。
農林水産省の委託を受け、独立行政法人農業生物資源研究所と日本製紙が共同で開発したのが、このスギ花粉症緩和米です。
花粉症とは、スギやヒノキなどの花粉で、クシャミやら鼻水、目の炎症などのアレルギー反応が現れる病気のことで、免疫反応を過剰に引き起こしてしまっているのです。
花粉症の治療には、抗アレルギー薬をシーズン前からあらかじめ服用しておいて、花粉が飛んできてもその症状を軽くする方法と、シーズンに入り症状が出たらその症状そのものをやわらげる治療法とがあります。
しかし、注射をしたり薬を服用したりで、その副作用が懸念されています。
そういった背景から、このスギ花粉症緩和米が開発され始めました。
病院に通わず、注射も薬も必要なく、毎日食べるご飯で治療をしようということなのです。
日本製紙は独自の遺伝子組換え技術を持っています。
その遺伝子組換え技術を使って、花粉が持っている抗原決定基(エピトープ)の1つを米の中に組み込み、体の中の抗体に花粉が入ってきたと錯覚させることにより、アレルギー反応を抑えようということでなのです。
マウス実験では、普通の米を食べさせているマウスよりも、花粉症を引き起こす抗体を70%減らす効果が見られているようです。
しかし、イネのタンパク質の遺伝子と、自然界に存在しないタンパク質の遺伝子とを連結させて作った、スギ花粉症緩和遺伝子組換えイネの安全性も問題視されています。
このスギ花粉症緩和米を、食品として扱うのか、医薬品として扱うのかで、厚生労働省と農林水産省とで見解が違ってきていましたが、最終的に、効能を表示できる医薬品として開発していくことが決まったようです。
2010年にスギ花粉症緩和米の実用化を目指していたのが、医薬品扱いとなったので、臨床試験のデータ収集や副作用や有効性を検証したりしなければならず、世に出回るにはまだ年月がかかりそうです。
スギ花粉症緩和米の安全性が確認できれば、現在、花粉症だといわれている1700万人もの人にとっては、朗報ですよね。