シックハウス症候群
シックハウス症候群とは、住宅の建材や内装などから放散する化学物質による室内空気汚染で、様々な体の不調を感じることを言います。
欧米では、シックビル症候群(Sick building syndrome; SBS)と呼ばれています。
シックハウス症候群は、新築住宅や増改築の住宅で多く発生しますが、建物や建材の近代化で、化学物質を多く含む材料と機密性が高くなり密閉された部屋が増えたことにより近年多発し、大きな社会問題ともなっています。
シックハウス症候群の症状は非常に個人差が大きく、同じ住宅に住む人でも不快を感じる人とあまり感じない人がいるケースがあります。
主な初期症状は目、鼻、のどが刺激され、目がチカチカする、頭痛がする、のどが痛い、ゼイゼイする、などがあります。
このような状態が長く続くと、慢性疲労、思考力・注意力・意欲の低下、寝付きが悪い、イライラ、慢性頭痛などとなり、自律神経失調症やストレス疾患に良く似た症状になることもあります。
これらの多くは、建材、塗装、合板の接着剤、木材の防腐剤や保存材、などの含まれる化学物質が原因と言われています。
とくに、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンは、実態調査の結果、一部の住宅で非常に高い濃度が確認されています。
他にもアセトアルデヒド、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホスなど、多くの化学物質がありますが、いづれも人体に影響があり、ものによっては肺炎を起し、発がんの可能性があり、シックハウス症候群の原因と考えられます。
国では、関係省庁が協力して原因分析、基準設定、防止対策などの総合対策を行い、シックハウス症候群を防ごうとしています。
さらに住宅を選ぶ際には、化学物質の使用を極力抑えた建材や接着剤を使用した住宅を選ぶことが大切です。
最近では、シックハウス症候群など健康に配慮した住宅も増えていて、ホルムアルデヒドを使用していない接着剤で壁紙を貼ったり、ホルムアルデヒドの使用を抑えたフローリングを使用するなど、環境に配慮する傾向が高くなっています。
クラッシュ症候群
クラッシュ症候群とは挫滅症候群(ざめつしょうこうぐん)とも言われています。
車両事故などで、身体の一部が長時間挟まれるなどして圧迫されたりしてきゅしゅつされた後に、起こる様々な症候ことを言います。
クラッシュ症候群(またはクラッシュ・シンドローム)とも呼ばれていますが、きゅしゅつされた直後に意識がはっきりしている場合など重傷であることが見落とされる場合もあり、致死率は比較的高いとされています。
このクラッシュ症候群が始めて報告されたのは第二次世界大戦中の1940年に、ドイツ軍の空爆を受けたロンドンにおいて瓦礫の下から救出された人たちが発症し、これが最初の症例の報告とされています。
日本においては記憶に新しい人もいると想いますが1995年の阪神・淡路大震災で約400人が発症し、そのうちの約50人が死亡したと言われるものが最初です。
2005年に起きたJR福知山線脱線事故でも多数の人たちが発症しました、現在でも治療をしている人もいるなかでクラッシュ症候群で1人が死亡しているとされれています。
このクラッシュ症候群の原因は身体の一部、特に四肢が長時間圧迫を受けときに、筋肉が損傷を受けます。
その後に、圧迫された状態から解放されると、損傷を受け壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。
これらのものが大量に血液中に放出されることによりクラッシュ症候群の症状が発症するのです。
発症すると意識の混濁、チアノーゼ、失禁などの症状が見られる他に、高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビンにより腎臓の尿細管が壊死し急性腎不全を起こしたりします。
最初の症状は意識もはっきりしているために災害や事故に遭遇した人が大勢の場合などのときに治療が後回しになる確率が多いのですが、これらの時がクラッシュ症候群にとって一番危険なのです。
その治療方法は血液透析、血漿交換などの血液浄化療法。
また、一時間以上挟まれている状態のときに水分補給や乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液の点滴による血液中の毒素の希釈も有効です。
肝心なことは放出されたカリウムなどの血液中の濃度を下げることです。
なにも無い場合にはとにかく水分を補給する、それがクラッシュ症候群を引き起こさない唯一の方法です。
アンジェルマン症候群
アンジェルマン症候群とは、15番染色体上の一部の遺伝子の欠失症により、失調性歩行、頻繁に生じる笑い、多幸性、重度精神遅滞、てんかんなどの症候が多彩かつまとまった状態で形成されみられる病的状態をいい、英国の医師であるへリー・アンジェルマン博士が1965年に発見した。
このアンジェルマン・シンドロームは、略称でしばしば「AS」と呼ばれる。
(以下「AS」という。)
ほとんどは突然変異で発生し、約2万人-3万人に一人と言われる病気である。
このアンジェルマン症候群は、新生児期や乳児期には障害が顕著ではないことから、特徴的な症状がはっきり表れてくる3歳から7歳くらいに発見されることが多く、実際に発達の遅れや重度言語障害、動作や平衡の異常、特異な行動が見られてきて、はじめて疑いを持つ場合がほとんどである。
このアンジェルマン症候群は、未解明な部分も多いが、最新の分子生物学的手法ではAS患者の約70%にその15番染色体の欠失を見いだすことが出来る。
欠失箇所は極めて小さいが、いくつもの遺伝子が含まれるには充分な大きさの欠失と言える。
15番染色体の欠失領域には、親からの由来で活性化されたり不活性化されたりする遺伝子が含まれていることが分かっている。
すなわち、母親から伝わった15番染色体では働くようにスイッチが入れられていても、父親からのものでは働かないようにスイッチが切られている遺伝子があるということだ。
ASの原因となる遺伝子はまだ特定されていないが、現代の技術の進歩から発見も時間の問題と言われている。
90%以上に痙攣の症状が見られるほか、歩行や動作異常、多動性、言語障害、精神発達の遅滞、低色素症、斜視、眼球色素欠損、睡眠障害、摂食障害などの症状が見られることがある。
難病の指定を受けているほか、様々な精神的な症状をやわらげるためのカウンセリングなども研究され始めている。
子供が生後、同様な症状でずっと悩まれているという方は、医者に早い内に診てもらうことをオススメする。